キミに伝えたい愛がある。

どれだけ頑張って走ってもりっくんには追い付けなかった。


次の電車は20分後。


ホームのベンチに腰掛け、待っていると粉雪がふわふわと舞ってきた。


雪を見ながら私は思った。


バカだな、私...。


応援するとか言いながら好きになってしまったり、


好きじゃない人と付き合ってみたり、


そして傷付け、傷つけられ、


自分を見失う。


恋なんてしたくない。


...そうだ。


それだ。


私が雪のように淡く儚い恋を忘れたのは5歳の時。


私はりっくんが好きだった。


今の今まで良くも悪くも忘れていたけど、私はりっくんに恋をしたんだ。


でも、りっくんの周りには常に女の子がいたし、その子たちの誰かと結ばれなくてもめぐちゃんと結ばれることは目に見えていたから、私は諦めたのだった。


りっくんを嫌いになろうとして、りっくんから遠ざかった。


りっくんが見えないように、


りっくんに気づかれないように、


私は一定のキョリを取って生きてきた。


2度と好きにならないように自分の心に蓋をして、嫌いの魔法をかけた。


でも、嫌いになれなかった。


本当は分かっていたのかもしれない。


りっくんのことを嫌いで好きな自分の気持ちを。


そして今、抑えきれなくなって好きに傾いてしまった。


最初から好きになることは禁じられていて好きになったら、負けだった。


私は自分に負けた。


私は...


りっくんが好き。


だけど...


嫌いになる。


そうするしかないんだ。


りっくんの隣にいるのは私じゃない。


これは運命だから仕方がない。


そうだよ。


仕方がないんだよ。


だから、


だから...。