「河野くん!!大変です!!研究所におかしな手紙が……」

正人の声は戸惑っている。大河は如月刑事と顔を見合わせた。

「如月刑事と一緒に戻ります」

そう言い、大河は如月刑事とともに研究所へと急いだ。



大河と如月刑事が同時に研究所の部屋に入ると、「河野くん!!」と涙目の朝子が駆け寄ってくる。

「一体何が?」

如月刑事が訊ねると、「ちょうどいいところに!」と正人がテーブルに置かれた手紙を指差す。

「あそこに、とんでもない内容が書かれているんです!」

如月刑事と大河はすぐに手紙に近づく。如月刑事はポケットから白い手袋を出し、自分の手につけてから手紙を開けた。大河も手紙を覗き込む。

「拝啓 法医学研究所 所長 春川正人様
 あなたの研究所の監察医、霧島藍を誘拐
 しました。無事に返してほしいのなら、
 私のこれから指示することを行いなさい。
 さもなくば、霧島先生の遺体が発見され
 ることになるでしょう。
 研究所でこの三人を解剖しなさい。
 高遠博(たかとおひろ)、牧野美菜(まきのみ な)、そして郷野勇吾(ごうのゆうご)。
 警察やマスコミにこの事件のことは話しても
 構いません。解剖結果を心待ちにしています」