昼休み、
私は、きいちゃんと、
中庭でお弁当を食べていた。


「で!ちひろ。転校生2人に挟まれている感想は?」


「うーん。特に無いかなぁー。」

私がそう答えると、


きいちゃんは、頭を抱えて大きくため息をついた。


「はぁ。
ちひろってば、
あんなイケメン2人に囲まれて、
何も感じないなんて...。

ちひろとは、高校からの付き合いだけどさ、もっと青春を謳歌しないと。

私、ちひろのこの先が心配で、心配で。」



「何それ、きいちゃんは心配しすぎ。

青春なんて、本読めば分かるし、物語読むと疑似体験出来るじゃん。
だから、私も、青春したことあるよ?

青春がテーマの物語だと最近は、何読んだっけ...。えーと...。」


私は、本の題名を思い出す。



「待てーーーい!ちひろ!
本がこの世の全てじゃないって!
文字だけで語り尽くせないほど現実世界は、奥が深いんだよ!」


きいちゃんは、
必死に説明してくれるけど、
私は、ちっとも、
分かった気にはならなかった。


「ダメだ。これは。」

きいちゃんは、そう言って食べ終えたお弁当箱の蓋をそっと、閉めた。