そしてとうとうその時間が来てしまった。「じゃあ鈴音少し残念だけど帰るよ。またいつかね。」僕がそう言うと鈴音は僕よりも寂しそうにいつもよりも更にか細い声で「絶対だよ。また会えるよね。私いつまでだって待ってるからね。」「うん。」そう一言返して
僕は鈴音の家を後にした。でもきっと鈴音だって気づいたはずだ。僕の背中にとてつもない哀しみが乗っかっていることに。そして僕はなんとなくの勘だけで実に徒歩3時間の道のりを帰った。「ただいま」僕がそう言って竪穴式住居に入ると、やや食い気味で「おかえり」と言われた。中に入ると予想はしていたが、完全に予想通り「朝帰りとはおめぇもやるやつだべな」と揚げ足を取られ少し頭にきたが、仕方なく「山に入ったら道に迷っちまってよ…ハハハ」と返した。それから僕はまた、そのままこの集落でゆったりと過ごしていたのだが、あれから3日がたち、ちょうど鈴音のことが気になり始めた頃だった。
隣の敷地に新たな住居がたって、誰かが挨拶に来た。玄関から、「大和」と呼ばれたような気がして行ってみると、そこにはまさかの鈴音がたっていた。僕は頭が追い付かなくて
呆然としていると鈴音が無邪気な笑顔で「待ちきれなくて、大和に集落の場所聞いたの思いだして引っ越して来ちゃった(ノ≧ڡ≦)☆」と言うのだった。