キミと歩けば

「運転してみたいの？」
静かにそう聞けば
「ううん。この前ね、高校の友達、リカがね夏休み帰ってきて免許取るって言うから。どんなかなぁって思って」
「そっか。でも運転技術云々じゃなくて、結衣は免許取れない」

「……病気だから？」
「うん。」

なんて答えて良いのか分からず短く返事する事しかできなかった。

「そっか。そうだよね。運転中に発作起こしたら、周りの人も危険だよね。」

無理に笑って見せる結衣の姿に胸が締め付けられそうになった。
生まれた時から、やりたい事諦めて、ダメだって言われて我慢して。
また今日もダメって言われて…

「行きたい所あるなら教えてよ。一緒に行こう。僕が連れて行ってあげる」
「…どこでもいいの？」
「うん。いいよ」

結衣は頬に伝う涙を拭きながら笑って
「考えとく。いっぱいあるんだ」
そう言った。