「先生と弟さんもお医者様になられたそうですね。本当にご立派なご兄弟で」
「いえいえ、立派なんてとんでもない。結衣さんも語学が堪能でいらっしゃって」
「堪能だなんてそんなこと」

初対面の親同士だから、みんな探り探りの会話。お互いに褒めて謙遜して、でも心の中では自信満々。そんな雰囲気が漂っていた。

純和風な作りの料亭で行われた両家の顔合わせそして、略式の結納。
婚約の証として僕から結衣へ指輪を贈る。
両家の両親の前で交わす結婚の約束には重みがある。