キミと歩けば

「ダメよ。そんなの認めない」

突然そう言い放たれた。
「母さん?」
「私はそんな結婚、認めないわよ」
「ちょ、ちょっと母さん。なんで?」

「なんで?よくもそんな事が聞けるわね。
あなたが紹介したい人がいるって言うから楽しみにしてたのに。
連れてきたのが10も年下のまだ学生さん。
その上病気で子供も産めない。将来は移植が必要になるかもしれない。そんな事聞いて、喜んで結婚を許す親がいると思う?

雄介が苦労するのが目に見えてるじゃない。
そりゃ向こうのご両親はいいわよ。医者のアンタと結婚できれば将来安泰だもん。でも雄介は?
なんでわざわざそんな苦労を自分で背負うの?」

「結婚すれば苦労なんて大なり小なりどこの家庭だってあるだろ!」

「そうだけど。じゃあもし結婚してすぐに病気が悪化して最悪の事態になったらどうするの?雄介一人残して死んじゃったら」

「母さん!言葉を慎みなさい。結衣さんの前だぞ」

ヒートアップして言い合いを繰り広げようとしていたお母様とゆうちゃんをお父様が沈めた。