「結衣、結衣。起きて、着いたよ」
「…ごめん、寝てた」
「いいよ、疲れてたんだから。それより着いたよ」

車の外の景色を確認すると、つまらなさそうに口を尖らせた。
「…なんだこっちか…」
「えぇ⁈僕の家だと思った?」
「うん」

「残念でした。今日は帰りなさい。お父さんもいるんじゃない?車あるよ」
「本当だ。仕方ない…」
「仕方ないじゃないよ。じゃあね、おやすみ結衣」
「おやすみ、ゆうちゃん」

そっとキスをしてお別れする。
ゆうちゃんはいつも心配だからって私が家の中に入るまで車で待ってくれている。
車を降りれば玄関まで3メートルぐらいなのに。
玄関の中から手を振れば、ようやく車は発車する。大袈裟かもしれないけど、そんなゆうちゃんの優しさが大好き。