キミと歩けば

「待って待って。お手拭き」
「大丈夫だよ、これぐらい」
「えっ、でもすごい血だよ」
その場にいた全員がどうして良いの分からず、店員さんも慌てて取ってきた救急箱を抱えたままだった。

「そうだ、私タクシー呼んであるから、それが来たら病院行こうよ。夜間救急!」
「先に血、止めなきゃ」
「どうやって⁈」
「分かんないよ!!」
どうする事もできずに時間だけが過ぎていた。
すると、そんな時。救世主から連絡が来た。

「もしもし。駐車場で待ってるよ。慌てなくていいからゆっくりおいで」
「ゆ、ゆうちゃん!お願い助けて。はっしーがケガして全然血が止まらないの!」
「ケガって?死にそうなの?」
「そうじゃないけど!コップが割れて、切っちゃったのお願いこっち来て」
「まだそこにいるの?」
「うん」
「分かった。待ってて」

結衣が慌ててそんな事を言うから驚いたけど、きっと大したことじゃない。
それに結衣じゃなくて良かった。って言うのが素直な気持ち…