さすがに最上階のスイートと言う訳にはいかないけれどエレベーターはどんどん上がっていく。
部屋の扉を開ければ、窓の外には夜景が広がっていた。

「うわぁー綺麗だね。見てー」
そう言いながら窓辺へと駆け寄った結衣を追いかけ、そっと肩を抱き並んで夜景を眺めた。

けれど僕は夜景よりもこの後の段取りが気になり結衣を見つめた。視線に気づいた結衣は僕を見上げて

「なに?」って一言呟いた。
「何ってことないでしょ。この雰囲気で」
それだけ言うと、そっとキスをした。

触れるだけの優しいキス。
唇が離れると少し恥ずかしそうに結衣は
「先にシャワー浴びて来るね」
そう言ってバスルームへ向かった。

まさか結衣からそんなセリフを聞く日が来るなんて思いもしなかった。