キミと歩けば

『そう言うことは早く言ってよー』と内心思いつつ
「なかなか止まらないぐらい?」
「ううん、5分もすれば止まってた。それにもう就活終わったからきっと出ない」

「何それ?呑気だねー。自分のことだよ」
「そうだけど。耳鼻科行った方がいい?」
「続くようならね。月経と重なったっていうのを考慮しても、血液検査で分かるほど赤血球が減少してるんだから。とりあえず今回は鉄分補う薬出しとくから。でももし、目眩や頭痛、吐き気があったり、鼻血が続くようなら連絡して。分かった?」
「はーい」
「はぁ…本当に分かってんの?」
「うん、分かってます」

パソコンに向かい入力しながら、結衣を見るとこちらを見てニコニコ笑っている。よほど嬉しいんだろう。呆れてと言うか、何というか、つられて笑ってしまうから不思議だ。

「さて、そろそろ落ち着いたかな」
入力を終え、机に置いていた聴診器に手をかけた。
大人しく診察を受けていた結衣だけど、思わず笑ってしまった。
「ふふっ。よっぽど嬉しかったみたいだね。心臓が驚いてるよ(笑)」
「えっ?そんなのまで分かるんだね。先生、占い屋さんみたい!!」
「占い屋さんって。まぁでも、嬉しいのは分かるけど、舞い上がりすぎて転ばないように。帰りは気をつけるようにね。じゃあ次は来年、1月12日にしようかな」
「うん、分かった。じゃあまたねー」
「はーい。お大事に」

結衣を見送りカルテを入力していると、竹原先生がボソッと呟いた。