キミと歩けば

針が刺さった瞬間はいつもの注射と変わらないぐらいだったのに、そんな事なかった。
何かに掴まっていたくて、テーブルを掴んだ。
痛みから逃れようと無意識のうちに体が反応するけど、「頑張ってー」って言いながら看護師さんに肩を持たれる。

「…ったい。痛い痛い」
我慢出来ずに声をだすと「もうちょっとだよー」って看護師さんは腕をさすってくれる。
果たして医者や看護師の言う『ちょっと』って何秒?何分?そんな疑問が湧いてくる。

カチャンと音がしたかと思うと優しい声でゆうちゃんは
「麻酔、終わったよ。後は楽にしてていいよ」

無意識のうちに止めていた息を吐き出した。
呼吸を整えていると、再び声がかかった。

「結衣ちゃん、ここ触ってるの分かる?」
「分かんない」
「ここは?」
「分かんない」
「ん、オッケー。じゃあ始めます。今から肺に溜まった水、抜いていくからね。少しでも痛かったらすぐに言ってね。我慢しちゃダメだよ」