1人、レントゲン写真を見つめた。

『この状態にはなって欲しくなかった…』

様子を見に行きたかったけれどバタバタと忙しく、結局結衣の部屋に行けたのは消灯前だった。

「結衣」ドアを開け、呼びかけると
「ゆうちゃん…」
力のない返事。酸素を吸ってはいるけれど、少し苦しそうだ。それなのに笑おうとする。
ベッドの横に座り、前髪をかき分けた。

「全然、見かけなかったからお休みだと思った」
「今日はね、夜勤なんだ」
「そうなんだ」

昨日の面会スペースでみた笑顔が嘘のように、今はぐったりしている。そんな姿を見るのはさすがに堪える。けれどそんな負の感情に負ける訳にはいかない。医者なんだから。