キミと歩けば

いつもよりもドキドキしている。
動悸…?長年の経験からすると、きっと今ナースコールを押して先生がくれば診察だ検査だといって時間を拘束される。
それならば今のうちにトイレに行こう。
まだ余裕のある内に済ませておこう。そう思い点滴の台をカラカラと押しながら向かった。

トイレを出て廊下を歩いていると、いつもは平気なのに今日は息が上がる。
部屋まであと少し…着いたらゆうちゃんに言おう。そう決め歩いていると後ろから声がかかった。

「佐伯さん」
振り返るとこちらに歩いてくる川本先生だった。
「…先生」
「トイレ?」
「はい。あっ、先生。ちょっといいですか?」
「うん。いいよ。部屋まで行こうか?」

部屋に着き、ノソノソとベッドに上がっていると、手伝ってくれ足元に布団を掛けると、
「どしたの?なんかあった?」
「まだ我慢できるんだけど、一応報告しとこうかなって思って。ちょっとだけね動悸って言うのかな…いつもよりドキドキしてトイレ行っただけなのに疲れちゃって」
「動悸か。息苦しさはない?」
「んー…ちょっとだけ?」
「そっか。じゃあ少し待っててもらえる?原田先生に報告して来るから」

そう言って出て行った川本先生の背中を見送り、目を瞑った。