今から入院して治療開始です。
そんな事を突然言われて喜ぶ人はいないだろう。ゆうちゃんとママと私。
トボトボと心臓外科の病棟に向かった。

「ちょっとここで待ってて」
病棟に着くと、ナースステーションに立ち寄ったゆうちゃんは、しばらくすると出てきて

「こっちへどうぞ」と誘導してくれた。
案内されたのはナースステーションからほど近い個室。布団をめくり、はいどーぞと声をかけられるけど、全く気が進まない。
部屋の中にはゆうちゃんとママだけなのを良いことに、「ヤダって言ったら?」とゴネてみた。

「それは困ったなぁ。では抱っこでもしましょうか?」
本気で言ってないと言うのが分かっているゆうちゃんは冗談で返してくる。それなのに
「結衣ワガママ言わないの。先生が困るでしょ」とママ

はぁーと深いため息をわざとつき、靴と靴下を脱ぎベッドにあがった。
「なんで靴下まで脱ぐの?」
「靴下履いたままベッドにいるのは嫌なの」
「ふーん。そうなんだ。あっ、服はどうする?お母さん取って来られます?無理なら病院の貸し出すけど」

「ヤダ。あれ可愛くないから。ママ、お願いパジャマ持って来て」
「後で必要な物、取りに帰るね」
ベッドに上がり、背もたれに体を預けたのを確認するとゆうちゃんは布団を掛けてくれた。