そう言って結衣の方に向き直ると

「長くなってもいい?」
「うん。良いよ」

「先生、私って大学卒業したら仕事できる?きちんと働いて、自立したいの」
「仕事かー。そりゃできるよ。でも何でも好きな仕事をどうぞ。とは、言えないかな」

「できないこともあるってこと?」
「そう。例えば外を歩き回る営業の仕事は体力的に無理だし、室内であっても僕らみたいな医者や教師ってのも案外体力つかうし、時間的拘束も不規則だから難しい。だから就職するんだったら、大学にはないのかな?就職支援センターみたいな所。そこに行くのも良いし、後はちょっと調べてもらわないと僕もよく分からないんだけど、心疾患のある人が社会で活躍できるようサポートしてくれる団体があるんだ。例えば今日みたいな検診は会社が休みを与えますよー。とか、体調不良による遅刻や欠勤も多少は大目に見ますよ。っていう制度のある会社を紹介してくれる団体だったかな」

「そうなんだ。そんなのあるんだ。先生ありがとう」
「でもご両親にもきちんと相談して、決めるんだよ」
「うん、分かった」