「あーあ。嬉しいような、面倒くさいような…」
「どうしたの？」
「研修医の指導任された」
「えっ？指導医ってこと？」
「うん」
「えーカッコいい。ドラマなんかでよく聞くよね」
「現実は違うよ。何か失敗したり、粗相があれば僕のせいだし、忙しい時に使えなくても僕のせい。ってことで、きっと結衣の外来の日もいると思うけど気にしなくていいからね」

「誰だっけ？前もいたよね。えーと…」
「覚えてたんだ。竹原くん」
「そうそう！そんな名前だった。その人なの？」
「うん。まぁでも指導任されるってことは、ようやく僕も一人前になったってことかな」

「そうなんだ。お医者さんの世界って厳しいんだね。ゆうちゃんでもようやく一人前なんだ」
「人の命がかかってるからね、簡単な世界じゃないよ。でもその分やり甲斐だってある。嫌いじゃないしね」