突然そんな事を言われ、戸惑っている竹原先生は私の前に座ると
「じゃ、じゃあ始めますね」
「はい、お願いします」

すると、後ろからゆうちゃんは
「心雑音にも注意が必要だけど、結衣ちゃんの疾患の場合は肺の音にも注意してね。聴診で聞き逃してしまうと、その後の検査も後回しになって、症状が悪化する可能性もあるので慎重に」

「はい」
後輩医師にアドバイスしている姿をみると、ゆうちゃんが立派な医者なんだっていうことを改めて感じる。

緊張しながらも竹原先生は無事に診察を終え
「原田先生、今日の所は大丈夫かと」
「そう?竹原先生が言うなら大丈夫かな。
でも一応、僕も聞かせてもらおうかな」

そう言って席を交代すると、ゆうちゃんも聴診器をかけた。

「ゆっくり深呼吸ね」