「えっ、ちょっと!!」

手を引かれどんどん走っていく。
今までの人生で走ったのなんて、小さい頃に治療をストライキして、走ったのが最後だ。
止まろうと思っても引っ張られ足が勝手に進む。さすがに危ない。そう思った。

「待っててば!!」
勢いよく腕を振りほどいた。
驚いている二人に息も切れ切れに伝えた。

「ごめん。私、走れない。先に行って」
「でも濡れるよ。なんで?」
「いいから、ごめん」
そう言って止まっている私を気にしながら、二人は行ってしまった。