あの日の空にまた会えるまで。



「それどころか、不倫をした2人は俺たちを責めた。お前らのせいでバレた。お前たちが見なければ、お前たちがきちんと隠し通してくれてたら…」
「……そんな…」

自分たちの過ちを子どものせいにするなんて……小学4年生にそんな重荷なことできるわけがないのに。

「矛先は俺と瑠衣に向かった。俺の父親と瑠衣の母親は責められる俺たちに対して何も言わなかった。庇うこともしなかった。けど、不倫をした2人に怒りをぶつけながらも、俺たちを見る視線は…

ーーー憎しみの目だった」

こんな悲しいこと、他にあるのだろうか。

次に顔を歪めたのは私の方だった。正直、聞いていられないくらいに酷い話だ。耳を塞ぎたくもなる。そんな過去があっただなんて、あの頃微塵も思わなかった。それだけ私は平和で平凡で普通の生活を送ってきたということなのだろう。

人の痛みになんて見向きもできないほどに、平々凡々の日々を送ってきたのだ。

「俺たちが悪かったのか。俺と瑠衣は泣きながら考えた。でも答えなんて出ないんだ。結局は誰も、俺たちの味方なんていなかったから。俺たちを少しでも案じてくれる存在は一つもなかった。俺と瑠衣は、家族を失ったと同時に、ただ絶望した」

せめて自分と血が繋がる親だけは味方でいてほしかったはずなのに、その存在が味方じゃなかった。その時の絶望は、計り知れない。

その時、誰か1人でも味方になってくれる人がいたら何かは変わっていたのだろう。もしかしたら、そんな辛い過去を背負わずにいられたのかもしれない。

「それからは早かった。もちろんお互いの両親は離婚。不倫した2人は開き直って一緒になれるって舞い上がってたよ。新しい人生のスタートに俺たちはいらないと言って、家を出て行った」
「……」
「俺はその時寝てたから、気付けば母親がいなくなってたけど、瑠衣に至っては目の前で父親が家を出て行ったから、俺よりもショックは大きかったと思う」

脳裏に過ぎるあの頃の瑠衣先輩の笑顔に胸が締め付けられる。その笑顔の裏で、どれだけの葛藤と苦悩があったのだろう。

……いったい、どれだけの闇を抱えてきたのだろう。