あの日の空にまた会えるまで。



「きっと、俺ら家族と瑠衣の家族は近すぎたんだ。仲が良すぎて近すぎて、あまりにも側にいたから、家族という枠すら超えてしまった」
「……何が、あったんですか?」

そう問いかけた私に奏先輩は顔色一つ変えず目に色を失った目で呟いた。


「ーーー俺の母親と瑠衣の父親が不倫してた」


なに、それ

静かに届いたその声に私は言葉を失った。


「最悪なことに、それを見たのが俺と瑠衣だったんだよ。その時俺たちは小学4年生だった。それくらいになるとさすがに善悪の区別はつく」
「それ、って…」

見たって……もしかして

「想像できる?」
「……」
「俺の母親と瑠衣の父親が、家族川の字になって寝てた俺たちのベッドでセックスをしているのを見た子どもの気持ち」
「…っ」

思わず口を手で押さえた。

想像なんてできない。そんな最悪なものを目の前で見てしまう気持ちだなんて、私には想像することすらできない。

「気持ち悪かったよ。吐き気すら感じた。女の顔になった母親を見るだけでも気持ち悪いのに、その相手が瑠衣の父親だなんて、気持ち悪いなんてもんじゃなかった」
「……酷い…」
「瑠衣も同じ気持ちだったと思う。でも俺たちは何かの間違いだと思い込むことにした。俺たちが間違ってるんだと言い聞かせることで家族を守れるなら易いもんだろって。

あの時、俺たちはまだ小学4年だ。物事の理解は出来てもそれを解決する力なんてない。家族が壊れるかもしれない、離れ離れになるかもしれないと思うと見なかったことにするべきだって思った」

小学4年生というのは、確かに善悪の区別はつくだろう。奏先輩の言うように物事の理解もできる。家族が壊れることでどんな結末を自分たちにもたらすのか、まだ幼いながらもはっきり感じることができる年齢だ。

けれど、同時に悲しくもなった。