そんな私を、周りの人達が可哀想だと言うのも少しだけ分かる気がする。けれど私が可哀想だということは、奏先輩に非があるということになる。それは、違う気がした。
「川橋、顔は無駄に良いもんね」
「優しそうな顔してるけど、そんな奴だからやめときなよ?」
と、2人は「さ、ビール取りにいこー」とソファーから立ち上がった。
そんな奴だからと言っても、その話題に出てた『後輩ちゃん』は、まぁ私のことなんだけど。
遥さんと彩月さんがいなくなり、話に区切りがついたところで、真央が言う。
「……奏先輩、何かあったのかな」
「え?」
それはさっきまで奏先輩に対して怒りを露わにしていた真央らしからぬ発言だった。
「だってさ、中学のときの奏先輩って冷たいとか無関心とかそんなん無かったでしょ。さっき肝試しのときだってなんかおかしかったし。壁感じたってゆーか…」
「……真央」
「嫌いには変わりないけどね!」
最後の華麗なる一言にズコッとなる。神妙な顔をしていたであろう私は思わず笑ってしまった。
「今から行くんでしょ?」
「……うん」
「頑張ってね」
その頑張っての中にはたくさんの想いが詰まっている。今度こそ、どんな形であれ終わりにするために。ついに、答えを出す時が来たんだ。
「うん、行ってくるよ」
「いってらっしゃい」
どんな真実があるのかなんて分からない。自分がどんな気持ちでどんな決断をするのかも分からない。
それでも、私は決めたから。
ーーー会いたい。
そう望んでくれたあの人の言葉をしっかりと聞くんだって、決めたから。
私は今度こそ
ソファーから立ち上がったーーー



