あの日の空にまた会えるまで。



「……どういうことですか?」

真央が尋ねる。

「だってあいつ、冷たいじゃん」
「そーそー。周りに興味ないんだよ。冷めてるってゆーか、無関心ってゆーか」
「……」
「一応は優しいんだよ。優しくて良いやつだとは思うけど、ふとした時とか些細な時にブラック川橋になるんだよ。よく分かんないよね、あれ」

意気投合する2人に私は本当に奏先輩のことを言っているのかと疑いたくなる。

なに、ブラック川橋って。

冷めてる?周りに興味ない?冷たい?

どれも私の知ってる奏先輩じゃない。けれどそれら全てを真っ向から否定できないのはきっと、さっきの奏先輩を見たからだ。真央に無関心だった奏先輩を。

6年という月日はそこまで人を変えてしまうのだろうか。

蓮先輩は中学の時から奏先輩には冷たい部分があったと言っていた。でも私は悲しげな表情や物思いに耽る奏先輩は見ても冷たいあの人を一度たりとも見たことはなかったのだ。そんな、冷めてるなんて言われるような奏先輩を、私は知らない。

「そういえば私、川橋と同じ中学で同級生だったって人と喋ったことあるんだけどさ、」

ドキッとした。

「中学3年のとき、彼女かってくらいめっちゃ可愛がってた後輩がいたんだって」
「…!?」
「えーなにそれ!?」

彼女…!?

中学3年生ってことは、私……のことだろうか。

「その後輩ちゃんとずーーと一緒にいたらしいんだけど、川橋、まさかの二股だったって」
「は!?最低じゃん!」
「後輩ちゃんのことめっちゃ可愛がってたくせに彼女がいて、見てて可哀想だったって言ってた」
「……」

ズキッと胸に痛みが走ったような気がして、私は視線を逸らした。

第三者から見れば、可哀想だったと、そう見えるのは仕方がないのかもしれない。それほどに、あの頃の私は愚かで馬鹿だった。奏先輩は何かを伝えてくれたわけでもないのに、調子に乗ってたんだ。