「諦めるとか諦めないとかじゃないよ。奏先輩のことはもう諦めてる」
それはもう、裏切られたあの日から。
奏先輩は決して応えてはくれないと、とうの昔に気付いている。
じゃないと、馬鹿な私はまた期待してしまうから。
「でも好きなんでしょ?自覚したんだよね?」
「……そうだね」
何年経っても忘れられなかったのはまだ好きだからだと言うことに気付いた。けど、好きだけじゃない。その好きの中に裏切りという名の憎悪もある。
そう、好きだけじゃない。好きだけど、好きではない。まだ好きだと思うのは、終わりにできなかったからだ。未練が残る、突然の終焉を迎えてしまったから。最後の約束も果たされることはなかった。卒業式までの期間、それだけが私と奏先輩を繋ぐ約束だったのに、無残にも打ち砕かれた。
終わりにできなかったからこそ、未練が残る。それが分かっていたから、最後に会った中学時代のあの日、きちんと終わりにしようと思っていたのに。
そういえば昔、真央が言ってた。
ーーー消化できなかった恋を、どうやって終わらせんのさ
あの頃は最後に会ったあの日に終わりにできると思ってた。気持ちを伝えて、奏先輩の思いを聞いて、終わりにする気持ちで向かい合ったというのに、今はもう、私が聞きたいくらいだ。
終わらせることのできなかった恋は、どうやって消化するの?
どうしたら忘れられる?
また奏先輩の想いを聞けば終わらせられるの?
姿を消したことの真実を聞けば、私は納得して前に進めるの?
「……真央」
「ん?」
「私、近いうちに奏先輩と会うよ」
「え?」
それは決められた運命のように。
きっと奏先輩が私を見つけるだろう。たとえ逃げようとも、真実と過去は向こうからやってくる。逃げるな、向き合えと、私の想いなんてそっちのけで、全てを突きつけてくるだろう。
蓮先輩の言っていたことが本当なら、近いうちに必ずその時が来るんだ。



