それから数日後。早速学級委員の集まりがあった。まだ1年生は部活に入っていないため放課後は何もないのだけれど、2年生と3年生は変わらず部活があるわけで。それに配慮して昼休憩の休み時間に集まるらしい。

給食を食べた後、悠斗と共に筆記用具を持って指定された教室へと向かう。

「佐倉は何か部活入るのか?」
「今のところ何も決まってないよ。入りたい部活も特にないし」
「そっかー。ちなみに俺は陸上部かな」
「え!すごい!走るの得意なんだ?」
「得意っつーか、体動かすの好きだし、走るの好きだから、陸上部かなーって」
「悠斗、運動神経良さそうだもんね」
「お。やっぱり見てわかる?さすが俺」

目をキラキラさせる悠斗に私は苦笑する。悠斗の親しみやすさはこういう冗談も理由にあるなのだろう。

「でも、陸上部のユニフォームが嫌なんだよなー。俺あんな足出したくないし」
「あー、確かに短いイメージある」

そんな談笑を繰り返して指定された教室に辿り着く。2人で顔を見合わせコクリと頷いて、悠斗がそっと扉を開けた。

扉を開けた先には椅子に座っている人、談笑をする数人、色々な人がいた。どうやら各々が時間になるまでは自由に過ごしているらしい。中には寝ている人もいる。

「あ、君たち1年生?何組?」

話しかけられて一気に緊張が走った。話しかけてきたのは長い髪を綺麗に巻いた女の人だった。

「は、はい。1年4組です」

そう言った私に、その人は出欠にチェックをつけた。

「ん。おっけーい。私は3年の榛名瑠衣。後で自己紹介するけど一応学年委員長やってるから何かあったら私に相談してね。じゃ、時間までごゆっくりー」

学級委員長だけじゃなくて学年委員長というものもあるのか。学年ってことは、分かりやすくすると3年生代表ということかな。しかしこの榛名瑠衣という女性は本当に中学3年生なのだろうか?高校生にも見えるほどにすごく大人びていて、それに落ち着いているというか、中学生らしさがないというか、それほどに大人びている人だった。

だからなのかすごく緊張する。

「なんか…あの人大人っぽいな」

適当に座った椅子の隣で悠斗が小さな声で耳打ちしてくる。悠斗も同じことを思ったらしい。

「そうだね」

筆記用具を机の上に並べていつ始まっても大丈夫なように準備をして、よしと気合いを入れる。

「佐倉と大違いだよ」

委員長と副委員長という関係になりそれなりに仲良くなったとはいえ悠斗はこういう冗談を言ってくるようになった。元々の親しみやすさと人懐っこさの一つともいえる。

「うるさいな」

軽く悠斗を睨み付けると、悠斗は楽しそうにははっと笑うだけだった。