「わたしね、本当は分かってたよ」
「なにが…?」
「葵が奏先輩のことが好きなこと」
「っ」
「でも好きってだけじゃなくて、嫌いだから好きみたいな、葵もよく分かんないことになってんだろうなぁって。葛藤して認めたくないみたいだったし。私としては戻って欲しくなかったんだけど、最近の葵を見てたら時間の問題かなぁって思ってた」

戻ってほしくなかったと初めてハッキリと言われて苦笑する。

真央の想いには気付いていたのに、こうでもならないと私に気を使って言えない言葉が真央の中にはあるんだ。

私はどこまで心配をかけてしまうんだろうか。

「…本当ごめん」

そう言った私に真央は優しく笑って首を振った。

「でも、そっかぁー…」

呆れたようでもなく怒ったようでもなく、仕方がないなーという感じで笑いながらベットに肘をつく。

「戻っちゃったかー…」

戻らないと決めていたのに、戻ってしまった。
好きだとハッキリと自覚をした。

自覚をしたと同時に傷つける形で終わりを迎えてしまったけれど、きっとこれでいいんだろう。奏先輩には長く結びついている相手がいる。