「最初は医務室に運んだらしいんだけど医務室閉まってたから、仕方なく奏先輩が学生証を見てここまで運んでくれたんだよ。
勝手にごめんって伝えといてって言ってた」
「……そっか」
奏先輩がここまで運んでくれたのか…
別に怒ったりはしていない。
真央とも連絡が取れず医務室が閉まっていたとなると仕方がない。八方塞がりな状況ではそうするしか方法はないと判断したんだ。それは仕方がないと思える。
だけど、そこまでしてもらえる資格や価値がこの私にあったのだろうか。
あんな懇願をして、ついてこないでとハッキリと拒否をしたこの私に。
「なにがあったの?」
今まであまり無理に聞き出そうとしてこなかった真央が初めて見せた、今までとは違う本気の顔に私は視線を逸らし、倒れる前の記憶をポツリポツリと話した。
脳裏には奏先輩の傷付いた顔と哀しげな表情が浮か日ながら。
ーーーこれで最後だと言っていた。
奏先輩は、きっともう私には話しかけてこない。
そして、泣きながらそれを懇願したのは私だ。私がそれを望んだ。これでいい。
たとえ気持ちが戻ってしまっていたことを認めたとしても、忘れるべきなんだ、何もかもを。
それなのに。
ーーー涙が止まらない。



