足に力が入らなくなり。その場に蹲った。その瞬間奏先輩の腕が伸びてくる。
「あおちゃん!」
優しくも力強い手のひらが私の肩に触れる。
「お願いだから、忘れさせて…ください」
2人で過ごした楽しかったあの日々も。
脳裏にこびりついて離れなかった教室で見た恋人さながらのキスシーンも。
約束も、失ったあの日も。
何もかも、全てを忘れさせてほしい。
「っ…分かった、分かったから、これ以上はやめよう。あおちゃんがしんどくなるだけだ」
「そう、せんぱい」
「ごめん、全部俺が悪い。俺が馬鹿でハッキリしないから、あおちゃんを苦しめた。本当にごめん」
溢れていた涙が頬を伝う。
肩に触れる奏先輩の手が、小さく震えていた。
「これで最後にするから、今日だけは俺で我慢して」
目眩と一緒に意識が遠のいていく。
奏先輩の胸に寄りかかる形で倒れ込んだ私に奏先輩が必死に声をかけている。あおちゃんと叫ぶ声も次第に遠くに聞こえてきて、私は目を閉じた。



