「……やばい」
猛烈に頭が痛い。それに倦怠感もある。体が重くて、バイトに向かわなければいけないのに体が言うことを聞かない。
ずっと感じていた頭痛は考えすぎなどによるものでは無かったということだろうか。真央の言う通りだったなと苦笑いをしてしまう。真央の方が私の体をよくわかっていると思う。
私の体の持ち主が真央だったら良かったのに、なんて意味の分からないことをぐるぐると思いながら重い体を引きずって大学を出た。
これだけの頭痛と倦怠感があるためバイトは休もうかと考え出していた時だった。
「葵ちゃん」
背中から聞こえてきた聞き覚えのある声に私は振り向いた。
「祐飛さん…」
昨日ぶりの祐飛さんが歩いて近寄ってくる。
「大丈夫?」
「え?」
大丈夫?…って、偶然会った人に聞くことじゃない気がする。もしかして体調を崩していること、知ってる…?
「いや、なんかしんどそうだから」
「そ、そうですか?」
側はら見ても分かるほどに体調が悪く見えるということか。これはもうダメだな…バイトは休ませてもらおう。バイトに行っても帰れと言われるだけだ。
「体調悪い?」
「まぁ、ちょっとだけ…」
「今から帰るの?」
「はい」
「送る」
「えぇ?」
引き止める余裕も無く、祐飛さんはスタスタと歩き始める。正直言って断るやり取りですら頭痛と倦怠感のせいで面倒くさい。祐飛さんはあまり喋る方じゃない分ハッキリしていて、そうと決めると断る隙もないほどに行動がとても早い。



