「こんな俺で、ごめん」
「えっ」
何も言えねくなった私のことなんて放置して、奏先輩はごめんねの言葉を残して私の横を通り過ぎた。
振り向くことすらできない私はその場に立ち尽くすことしかできなくて、それなのに頭の中は酷くクリアで、奏先輩に言われた言葉g頭の中を駆け巡っていく。
ーーー……俺と2人きりは嫌だったでしょ
ーーー嫌いな奴と2人になんてなりたくないじゃん
こんな俺で、ごめん
「……ちが、う…」
違う。ーーー……違う
そんなことを考えていたわけでも、そんなことを聞きたかったわけでもない。嫌いだなんて思ったことは、一度もない。
どうして…?どうしてこうなるの?
息苦しいとは思ったのは確かだけれど、嫌いだなんてそんなこと一度たりとも言ったことだって思ったことだって無かったのに、どうしてそんなことを言うの?
違う。
そう思わせてしまったのは私だ。
そう思ってしまうほどに私の態度や表情が酷かったのだろう。
「ごめん、なさい…」
足が震える。気を抜くと力が入らなくなる。思わず涙が流れてしまうのを必死に抑えた。
嫌いなんかじゃない。勘違いはされたくない。でもだからってどうすればいいのか分からない。6年もの間、気づかないうちに心を蝕んでいたトラウマは簡単に人を変えることが出来ないと知る。
私が出したあの答えは一体なんだったんだろう。
やっと体が動き出した時には長く時間が経っていたかもしれないしほんの一瞬だったかましれない。そして足を動かしたとき、胸の中に一つの違和感が芽生えた。



