あの日の空にまた会えるまで。



戸惑いながらも答える。蓮先輩のノリが変な方向に向いてしまう時もあるけれど、本当に付き合ってないんだから、何度聞かれてもそれしか答えられない。

「……付き合ってないです」
「でも、2人でいたよね?あの時、カフェに」
「まぁ、確かに2人でしたけど…」

それに何か問題があるのだろうか?男女が2人でいるからって付き合っているとは限らないでしょ。

「…蓮先輩とは、良く食事に行ったりしますけど付き合ってないです。色んな相談に乗ってくれたり、心配してくれたり、お世話になってる先輩です」
「……そっか」

苦笑しながらそう呟いた奏先輩の表情には微かな安心が込められていた気がして、私は目を逸らした。

ーーー気のせいだ。ホッとしたようなその溜息も、私は知らない。見てない。

「じゃあさ、」
「……」

「……俺とも、ご飯行こうよ」

時が止まるのはこういうことを言うのだろう。私は奏先輩の言っていることをすぐには理解できなかった。

ご飯に?誰と、誰が…?

「え…っ?」
「蓮は先輩なんでしょ?だったら俺だって同じ先輩だよ。ただの先輩の蓮と行けるんだったら、同じ"ただの先輩"である俺とも行けるよね?」

なにそれ…そんな聞き方、ズルい。

"ただの先輩と後輩で"

そう言ったのは確かに紛れもなく私だ。けれど、私が言ったのはそんな意味じゃない。蓮先輩との間には今まで培った時間と信頼がある。だから今の関係ができた。蓮先輩は確かに先輩だけど、ただの先輩じゃない。私の良き理解者でもあるんだ。

だから、違う。

蓮先輩と奏先輩は、同じじゃない。

そうは思うのに、私の口からは何も出てこなくて、戸惑うことしか出来なくて。