出逢いは中学一年。



まだまだ子どもで、初恋はあっても本当の恋愛が何なのかすらも分からない、純粋で無垢で残酷なほどに何も知らない、そんな自分が出逢ったのは、1人の男の子。



「ーーー新入生?」



思えばあの時から自分は囚われていたのだろう。誰にも慕われやすい人懐っこさと心の広さに自然と周りに人が集まっていた。その笑顔に何度救われ惹きつけられたのだろうか。しかし自分はそれしか見ていなかった。

屈託のない笑顔の中にある闇に気づくことは、あの時の自分にはできなかった。それほどに自分は子どもだったのだから。


けれど、大人になった今ならほんの少しだけ彼の人の気持ちが少しだけ理解できる気がする。

あの頃それに気付いていたら、闇に耐えられず、逃げるしかできなかった彼の人の想いを、受け止められなくとも寄り添うことはできたかもしれないのに。


長い時をかけて、隠された想いの真実に気付かされるのだから何と自分は愚かだったのか。

あの頃を思い出してはそんなことを思う。



それでもこの胸にあるのは、ただ一つだけ。


貴方だけを、いつまでも想っているという、嘘偽りのない、心からの愛だけだったーーー。