渡せなかった手紙の行方

「ありがとう。まずは、島津君とたくさん話しがしたい。仲良くしてくれる?」

私はそう言うと、島津君は微笑んでいた。

「……こちらこそ。今は友達だけど、絶対好きになってもらうからな」

「……恋愛よくわからないけど、島津君とは話しがしたい。それだけじゃ、ダメかな?」

「いいよ。全然。これからお互い知っていこう」

島津君は笑っていた。

私も笑って、思ったんだ。

私は上を見上げた。

その時、鳥が飛んでいた。

私はそれを見て思った。

どんな人でも、小さい存在でも、誰かは見てくれることに今更気づいたんだ。

吉澤君には手紙は渡せなかったけど、気づいたことはたくさんあった。

手紙だけでは分からないことが現実にあったから。