渡せなかった手紙の行方

島津君は私を見て、申し訳なさそうにして私に言う。

吉澤君が初めて、私を認識してくれた人だと思っていた。だけど、違った。

私の目の前にいる島津君だった。

「……だけど、なんで私を」

「いつも一人でいるから、気になっていた。朝たまたま早く来た時があって、千紘が花に水やりしてた。その姿を見て、思ったんだ。もっと話したいって。だけど、吉澤は勘がいいから。聞いてきて、俺は千紘のことを話した。千紘と初めて話した時、吉澤が転校することは俺でも知らなかった」

「え?知らなかったの?」

「ああ。知らなかったよ。突然いなくなるし、俺の母親にも、言付けだけ。吉澤の母さんから聞いたくらいだ。だから、その時思ったんだ。吉澤は俺が好きになった人はどんな奴かって確かめたかっただけなんじゃないかとね」

「私のことが……好き?」

言葉を発しながら、私は顔を赤くした。

「そうだよ。手紙の件は申し訳ないと思ってる。俺は吉澤に嫉妬してた。だから、俺は……」

島津君が何かを言おうとしたとき、私は素直に彼に言った。