桜 咲く頃に…

「この2年間…毎日 同じ夢を見てるの…」

やっとの思いで、言葉が出た。

「あの時の、“約束”の光景。
でも、すぐに暗闇に引きずられていく…
同時に、足がうずいて 眠れなくなって…」

涙が止まらない。
次から次へと、溢れだす。

今まで、弱音をはかず
強い自分で頑張ってきたけど…
楓お兄ちゃんを目にしたら
ありのままの私に戻ってしまう。
弱い私に…

「もう、一人にはさせないから。
俺の側で、眠りにつけばいい…」
「手を握ったまま、一緒に朝を
迎えよう。」

私の涙をそっとぬぐい、
楓お兄ちゃんの唇が
私の唇と重なった…

今まで、不安だった気持ちが
涙と共に すっと 流れ落ちていった。



その日から、半年後 私達は結婚式をあげた。