今回の事件の結論は、矢場光輝が殺された、だ。


光輝の人柄、人間関係はだいたい把握している。


私の知っている限りでは光輝を恨んでいる人がいないから、他の道に進もうとしているが、まずはその先入観をなくさなければならない。


さっき聞いた、光輝の笑顔が嫌いだったと思っている人がいてもおかしくない。


……知り合いを疑うのは、想像以上につらい。


「証明するときは、志鶴ちゃんの考えはいらないからね。現実というか、揺るがない事実を述べていくだけ」


……そうだ。
事件を解決するために、私の思いはいらない。


揺るがない事実。
つまり、証拠。


それを集めるためには、やはり捜査に加わるしかない。


「反論の余地は残しちゃいけない。そういうちょっとした隙を見逃さない人だっているからね」


わかってる。


光輝が言っていた、「ルールは守るもの」を無視してしまうが、やはり、自分の手で光輝を殺した犯人を見つけたい。


今なら、自分の感情に左右されない自信がある。


携帯を取り出し、先輩に電話をかけようとすると、逆にかかってきた。


「今から捜査本部に来て」


電話に出た瞬間、前置きもなく言われた。