すると一人の男の人が顔を真っ青にして叫び出した。



「……おっ…お前っ…もしかして月華(げっか)の月狼(げんろう) 榊 夏目!?」



月華……?月狼……?



「嘘だろっ!?……本物か!?」



「ヤバイぜ…どうするっ?」



「でも……ここでこいつに勝ったら頼人(よりと)さんに俺達、
鬼神(きじん)に戻してもらえるんじゃねぇ?」



「絶対…勝てねぇよ」



「やるしかないだろっ!」



すると五人は一気に榊さんに向かって走っていった。


嘘っ……危ないっ!


5対1なんて…榊さんって人負けちゃう……。


でも……そう思ったのもつかの間、目の前には煙草に火をつけている
榊さんとさっきの五人の人達がのびている光景。


何が……起こったの?



「おい、お前」


「はっはい」



つい反射的に返事してしまった。



「違ぇ…てめぇじゃねぇ」



うわぁ…恥ずかしい……。

榊さんは地面に伸びてる男の一人に言った。



「おい、中多(なかた)に伝えろ。捨てたんだったら最後までちゃんとしろってな」