苦しいっ……。


思い出すだけで…胸が張り裂けそうなのに……っ。

どうしても…誰かに聞いて欲しくてっ……私の気持ちをわかって欲しくてっ。


「でもっ……望夢に出会ってっ…全てが変わってっ……ひとりじゃないと思っていたのにっ……望夢は私を置いて一人でいなくなってっ……また、暗い中で過ごしてっ……」


「……っもう…いい」


「何も考えられなくなってっ……」


「…柚莉っ…もう」


「……何度も夢の中で自殺してっ」


「やめろっ……」


「なのに…現実は怖くて出来なくてっ」


「やめろっ!」


「ずっとっ…ずっと一人で人生を歩まなきゃ行けないってっ!」


「やめてくれっっ!!」


夏目の泣き叫ぶ声と突然包まれた温もりに私は我に返った。


驚愕した目でこちらを見つめる雅人さんと美夜さん。

辺りを見てみれば私の涙で床は濡れていて。


身体中が大きな痛みに覆われ…顔を上げれば涙で顔を歪ませる夏目。


「わたっ……わたしっ…ご…めんっ…なさい……」


その場は夏目のすすり泣く音と私の荒れた呼吸音だけが支配していた。


「…柚莉よ。辛いことを思い出させて悪かったっ…詫びを申す」


雅人さんが足を組んだまま膝に手をついて頭を下げた。


「あのっ…そのっ……わたしっ」


「親父、話は後で……今は柚莉を」


パニック状態になっている私に気を使ってくれたのかゆっくりと私を抱きあげようとした。


「あのっ…!」


せめて…これだけは伝えておきたい……。


「そんなっ…わた…私にっ……手を差し伸べてくれたのがっ……夏目でした」


乱れた呼吸と言葉で精一杯の私の気持ちを伝える。


「暖かい手でっ…暖かい瞳でっ……私の手を握ってくれてっ!嬉しかったっ…だから、どんな夏目であろうとっ……怖くありませんっ。ただ……それだけですっ」