襖に囲まれた部屋は夏目の部屋の二倍程あってとても広かった。


その奥には机を縦に並べてその上にたくさんの料理がおいてあり、またその奥にはこちらを見つめる凄い圧を持つ二人の人がいた。


「君か?夏目が目をつけている子っていうのは?」


「まあ!とっても可愛い子ねぇ!」



ニコニコしたりニヤニヤしたりといろんな表情で見つめられるので私は動けないでいるのに夏目は気にする素振りなんかなくてスタスタと歩き出す。


いやいや…置いてかないで?


「夏目?…っ夏目」


呼んでるのに振り向かずに歩いていくから自分はもっと不安になる。


するとゆっくりと振り返った夏目が全てをわかっているような目を向けてきた。口元を見る限りご機嫌なんだろう。


人の気も知らないで……。

と、変な拗ね方をしながら夏目の横を通り過ぎる。

これには夏目も予想外だったのか慌てながら私の手を握ってきた。


「……酷いです」


「あぁ…すまなかった」


怒られた子供のようにシュンとなる夏目は見てて可愛かった。

コロコロと変わっていく表情で自然と癒されていく。


「おいおい、お前達。私等の存在を忘れてないかい?」


ゆっくりと声のする方に顔を向けるとさっきよりも倍以上にニヤニヤしたお顔のお二人方がいた。