「此処だ」


長い廊下を歩いて着いたのは大きな蓮の花が描かれた襖の前。


「……親父と母さんも一緒だ」


「……えっ」


夏目が言っているのは夕食のことだろうな。



「……正直、怖いです」



さっき藍さんに言われた言葉が私にはかなりのダメージだった。


私は一般人で夏目は極道のお偉いさん。


世界が違うのは言わなくても分かってる……。

それでも…なんか嫌だっ…。


「…柚莉。俺は、柚莉が一般人だろうと関係ないと思ってる」


なんだろ…夏目には私の心が読める魔法があるのだろうか。


「安心しろ…」


いつも欲しい言葉を言ってくれる。


「……ありがとうございます」


ほんとに夏目は凄いよ……。


「…入るぞ」


「おう、はいーーー」


襖をスっと豪快に開ける。


「おい、最後まで聞いてから入ってこい」


わぁ……広い……。