「…っ!?………はぁ…ほんと、ジジィには適わねぇよ」


なんでも知ってやがる。この生意気爺さんは。

どこからその情報を持ち出しているのか。


「ひとつ言っておくぞ、夏目」


急に緊張感を出すから、つい柚莉の手を握ろうとする。



「そうやってその子に深入りしてしまうと…後が面倒じゃぞ?」


ピクっと伸ばしかけていた手が止まる。

ふっ…やっぱり……ジジィはなんでも知ってやがるな。


「……あぁ、わかってる」


「ならいいのじゃが……後々傷つくのはこの子じゃ。そうゆう所をもっと考えろ。よいですな?…若」


「急に上下関係を出すな…気持ちわりぃ」


「最近ちぃとばかしお口が生意気になってきたのぉ」


「あんたもな」




ジジィの言う通り依存するつもりはねぇよ……。


けど……柚莉の体温を感じた時……何かに捕まった感覚がした。

完全に冷えきった手なのにどこがまだ…温かさを残している手を

どうにも離したくない……。


俺がその冷たい手を俺の体温で温めたいって思うのは、どの感情がそう思わせているのか……。


知りたくない…が。


知っても後悔しないような……どこかそれでもいいような……。



「……柚莉」





お前に……堕ちそうで……怖ぇよ。