不思議だね……なんか、榊さんが『大丈夫』って言うと
ほんとにそんな気がしてくる。


「っ……手っ」



それでも不安な時榊さんを求めてしまう……あの暖かい手を。
伸ばす手をしっかり掴む榊さん。



「大丈夫だ…柚莉」



その言葉を繰り返し続ける榊さんは自分では
気づいてないかもしれないけど……すごく手が震えてる。

嬉しい……。


ふと、何故かそう思った。


何が嬉しいのか自分でもよく分からない。

でも、心が温かくなる。


「準備が出来ました。どうぞ」


「柚莉……動くぞ」


私を優しく抱き上げゆっくりと車に乗せる。

横抱きで少しでも振動を避けようとしてくれて…助かった。


「おい曽田爺!」


バンっと大きな音を立てて部屋に入っていく榊さん。


「なんじゃなんじゃ…突然……おやまぁ。こんなに傷を……どうしたんだい?」


「事情は後で説明する」


「ああそうした方がいいわい。とりあえずはよ出ていき」


「おいジジィ…柚莉に変なことしたらタダじゃおかないからな」


「わかっとるわいっ!いいから早うっ!」


バンっとまた大きな音を立てて部屋を出ていった。


「お前さん…車から飛び出したか?」


まだ何も言ってないなのにっ!?


「……っ…っえ?……なんっ……で」


「あぁいい後で聞く。早う手当てせんとな」