ーーーーーー「探せっ!必ず見つけろ!」



夜中に響く野太い声。

いくつもの走り回る足音。

そしてドクドクと荒々しい私の心臓。



「はぁ…はぁ…はぁ」



物陰に身を潜める。


体中の痛みと体力の限界でもう走れない。


夕方からずっと走り続けたせいで足が震える。



「……どうしたら…いいのっ……望夢っ」



取り返しのつかない状態なのはわかってる。

でも…なんでたくさんの男の人に追いかけられてるのか。

どうして私が……こんなに必死になって逃げているのか。


……分からないっ。


分からないから……今、ものすごく怖い。



「……ははっ…望夢……………今…すごく望夢に……会いたいっ」



もういないってわかってるのに……不思議と頼りたくなる。



「……会いたいっ」



夜空に手を伸ばす。


涙が私の顔を濡らして。



「……榊さんっ」



何故か貴方に……会いたいっ。



「柚莉」


「……っ!?」


伸ばしていた手が掴まれる。