「いい加減にしろ」
「……っ」
昨日の冷めた声に体が凍りつく感覚になった。
「家まで送る…来い」
「嫌っ……離して!」
振り払おうとしても力が強くてほどけない。
そのまま外まで連れてかれ黒塗りの高級車に乗せられる。
「…っ降ろして!!」
「…………」
車のドアを開けようとしても、ロックがかかっていて開かない。
「どちらまで」
運転席から男の人が顔をこちらに向けて話しかけてきた。
「お前…家は何処だ」
「降ろしてっ……歩いて帰る!」
「何処だと聞いている」
「教えないっ……いいから降ろして!」
「お前っ……若にむかってっ!」
「いい…黙ってろ」
「…御意」
私は大声を出し続けたせいで声がカラカラに。
ついでに意識も朦朧としてきた。
もういいや……。
またっ……一人でも。
「南ヶ丘の…アパート」
「そこへ行け」