なんだろ……。


だんだんとなにかに……堕ちていく感覚。

いいのかな……こんなんで。


『ダメだよ』


……っ!?


……望夢。


そう……そうだよ…私には望夢がいる。


私には望夢が……。


「いや…やっぱり……いいですっ」


「えっ?……いいんだよ?遠慮しないで」


「いえ……帰ります。何から何まで……ありがとうございました」


「えっ……ちょっと!」


私は薬の袋を握りしめて走った。






「っ……ここは何処?」


走っても走っても同じ場所に戻ってくる。

なかなか玄関が見つからない。


「いたっ!……柚莉ちゃん!」


「……っ!」


私は優斗さんから逃げるように逆方向へ走る。


「おい待て」


ギュッと右手を掴まれる。

さっきまで感じていた温もり……。


「離してっ……榊さんっ」