フォークですくったチーズケーキを口に運ばれる。

これもすっごくおいしい。この白に合うんですけど!

「また、おいしいって思ったでしょ?」

「ちがう、鷹野が食べさせるから!」

手についてしまったチーズケーキを一舐めするしぐさ、やっぱり鷹野ってきれいだな。ちょっとしたところにすぐ見惚れてしまう。

「好きになればいいんだよ。観念して」

口の横についたチーズケーキを舐めとられる。

「確かにうまい」

「もう、あり得ない」

なんだか、もう笑えてくる。こんなことになって困っているけど、嬉しくて。

「俺、唐揚げ食べたいな」

「自分で食べてよ」

「寧々さん、冷たい」

こいつには本当に参ってしまう。
なんでこんなに楽しいんだろう。こんなに巻き込まれているのに。

それから出張先のワイナリーの話をしたり、営業部の残り組の災難を話したり。
ほどよく酔っぱらい、私は鷹野の腕の中にいる。

「そういえば、出張先の着替えとかどうしたの?」

「着替えは今朝うちのマンションに送りました。きっと谷さんって家政婦さんが受け取ってくれて洗濯終わってるかと思う」

「すごいね」

「ありがたいよ」

こういうのを聞くと、やっぱりお坊ちゃんすごいなぁと思う。でも次の発言で前言撤回。

「今日の着替えは持ってきたから平気」

「泊まる気?」

「帰らせる気?」