やっと金曜日が終わろうとしているのに、バタバタは来週へと持ち越しの流れ。
さすがに。みんなの机にはカフェイン飲料の缶だのビンだの並んでいる。

私も同様に残業し、スーパーに寄って割引になったお総菜を買い込み、電車に乗り込む。

はあ、疲れた。
魂抜ける瞬間って、こういう電車に揺られてるときだなって思う。きっと目の下のクマがひどくなってる。

電車から降りて、家までまた歩く。
スマホが鳴って、今日の目標歩数到達を知らせる。はあ、本当に疲れた。

普通のアパートの2階。鷹野のマンションのリビングより狭いところに私は住んでいるんだよー、という現実。まあ、現実ってのはこんなもんです。

家に入り、ちゃんと戸締まりをする。
そして堅苦しい服を着替えて、惣菜をあたため、冷蔵庫のビールを…。

こんないいときにスマホがなった。
嫌な予感。

鷹野…!

仕方なく、鷹野からの電話を取る。

「もしもし」

「あ、寧々さん?今日は俺が寧々さんの家に行ってもいいですか?」

はい?なんと?

「え?なんでうちに来るの?」

「え?寧々さんに会いたいから。だし、出張のおみやげもあるんです」

いやいやいや。何を言うてますの?
しかもすっごく嬉しそうに、しっぽふってる犬みたい。