送ってしまったあとで、一時の感情で忙しいときにメッセージしてしまったかな、と反省する。

しかし、あいつも策士。
生島さんに、よりによって生島さんに言うとかあり得ない。そんなこと言われたら、付き合うしかなくなるじゃないか。

肩をつんつんとされ振り向くと、これから出掛ける生島さんがまた小声でささやく。

「あのさ、あいつ結構いいやつだから。俺はオススメする。んじゃ、いってきます」

ん?
オススメする?!
何をいってるんですか。オススメされても、なんか私巻き込まれ感半端ないんですが。

スマホにはメッセージの着信がある。

『おはようございます。仕事終わったらまた連絡します。俺も話したいことがあります。』

鷹野め。
ぬけぬけと、話したいことがあるだと。聞いてやろうじゃないか、もう。なんか落ち着かないなぁ。

机の上にたまっているのは、急な外回りで動かなきゃならなくなった人たちの、雑務。

ってこんなにあるの?
どさくさに紛れて頼んできたやつもあるだろ、これ。期限が過ぎてるやつまであるじゃないか、これ怒られるの私なのが割に合わない。経理部をこれ以上敵に回したくないんだけど。

ひとつため息をつく。

こういう面倒なことを引き受けてもなんとかしてくれる、なんて勘違いなんだからな。いくらババアでも権力なんか微塵もないんだからな。

昼飯おごってもらおう、と固く決心する。
それぐらいの見返りがないと、やってられん。