月曜日、出社すると営業部内がバタバタしている。

「どうかしました?」

「輸入部から、また無茶な依頼」

鳴り続ける電話をとって、生島さんは困りながら対応している。その電話が切れると

「鷹野、しばらくは出張だって」

生島さんがこちらを見ながら呟いた。悟られないようになるべく平静を装う。

「大変ですね」

私の答えに首をかしげて、こそこそっと生島さんが耳打ちしてきた。

「付き合うことになったってね、おめでと」

目を見開いて、驚く。
え?何のお話でしょうか?

「違うの?」

ここで否定しても肯定してもまずい。

「誰と?」

「鷹野と」

生島さんがまずいこと言っちゃったかなって顔になる。

「誰がそんなことを?」

「本人。鷹野が」

思わず唇を噛む。あいつ。何を生島さんに言ってくれたんだ。

「違うの?」

「まあ、そんなところですけど、誰にも言わないでくださいね」

きっ、と口止めをしておいて、鷹野にメッセージを送る。

『おはようございます。あとで電話ください。できれば早急に』