次の日、


鳥居さんから

少しずつ電話に出てみようか

と言われた。


鳥居さんは私と一緒に仕事をしている
職員の方だ。

私のお世話係でもある。




それ以来、

私は電話の件を挽回したくて、

仕事を頑張っていた。

丁寧に早くこなすことを目標に。

同じパートさんの作業の仕方をマネてみたり、

そうしていると

他の方からすごく褒められるようになっていた。




相変わらず電話は苦手だったが、


少しずつ出るようになっていた。








だけど、


柊さんとはあまり話すことはなくて、、







柊さんはけして無口なわけではなく、


他の人とは普通に話していている。


時に冗談を交わしたり。






あまり会話がない私は

嫌われているのだと思っていた。










「柊さんてこわいよね」



パート仲間の蔵馬さんが、


お昼ご飯を2人で食べていると話してきた。




「こないだなんか、

無言で昼になった途端に

電気消してきたんだよ?

こっちはまだ仕事してたのに。

節電大事って社長はいうけど、

まじめにすぐ切らなくてもねー?



でもあの無言の圧力がねー

パートだから何も言えないけど」





蔵馬さんは柊さんと一緒に主に仕事をしている。




蔵馬さんは

私のお母さんくらいの年齢で、

お子さんが3人いるらしい。


以前、事務の仕事をしていたらしく、

仕事もテキパキとしていて、

電話も慣れている様子だった。




蔵馬さんと柊さんは

冗談を時にはかわしたりしていたので、

そんな風に思っているとは思いもしなかった。




柊さんはこわい人だと思っていたのは

自分だけではなかったんだと

どこかで安心した。










今にして思えば、、




あの頃は柊さんにとって

辛いことが多すぎて

周りがみえていなかったのかもしれない。






あの頃は私も

自分のことばかりで

なにも見えていなかった。